眩しくて目を細めたらふいに泣きたくなった。
おかしな感情に戸惑い吸血鬼が瞳を伏せると、目の前の天使が首を傾げる。
どうしたの?と不思議そうな声に問われたがユーリは言葉を出せず、首を振って曖昧に笑った。
ただ一緒に昼下がりの散歩をしていただけだ。
色とりどりの花に囲まれた天使が、どこまでも広がる青空の下で柔らかな笑顔を浮かべただけだ。
ただそれだけのことが酷く胸を締め付けた。
「…お前の世界はたくさんの色で溢れているのだな」
心配そうな顔をしていたポエットの頭をユーリは優しく撫でてやる。もう大丈夫だと告げれば天使に再び笑顔が戻った。
その笑顔さえ温かな光のように見える。
こんなにも眩しい世界が在ることを、ユーリは初めて知った。
『君の世界の美しさ』
07/01/10